時間外労働とは

時間外労働とは、原則として法定労働時間で定められている1週40時間、1日8時間(例外として変形労働時間や一定の特例業種があります)を超えて労働させることができませんが、災害などの通常予見され得ない臨時の必要がある場合、公務のために臨時の必要がある場合、業務の繁忙の場合等に関して、労働基準法では、一定の要件のもとにこの法定労働時間の原則を超えて労働者を働かせることができます。

 ただし、時間外労働の基本的な問題として、36協定があれば時間外労働をさせることができるかというと、会社が一方的に命じることはできません。まず、使用者から労働者に時間外労働の申し出があり、つぎに、それに対して労働者からの承諾があって初めて時間外労働ができるのです。もちろん、使用者の許可なく勝手に居残っていたり、休日に出勤した場合は業務命令違反の問題になります。

1.災害その他避けることができない事由による場合

 災害その他避けることができない事由によって臨時に時間延長が必要な場合には、その必要な限度まで法定労働時間を超えて労働させることができますが、労働基準監督署長の許可が必要であり、事態急迫のためこの許可を受ける暇がない場合には、事後に届け出が必要になります。この「災害その他避けることができない事由による場合」の範囲は次のような行政解釈があります。

@単なる業務の繁忙その他これに準ずる経営上の必要は認めない

A急病、ボイラーの破裂その他人命または公益を保護するための必要は認める

B事業の運営を不可能ならしめるような突発的な機械の故障の修理は認めるが、通常予見される部分的な修理、定期的な手入れは認めない

C電圧低下による保安等の必要がある場合は認める

(昭和22.9.13基発第17号、昭和26.10.11基発第696号)

また、災害その他避けることができない事由による場合であっても、割増賃金は支払わなければなりません。

2.時間外労働に関する労使協定による場合

 労働基準法第36条では、使用者は労働者代表と書面による協定をし、これを労働基準監督署長に届け出た場合には、法定労働時間を超えて、その協定の範囲内で労働させることができる、と定めています。この協定書のことを通称、36協定といいます。

3.時間外労働を命じる根拠

 36協定の締結・届け出は、適法に時間外労働を行うための要件であり、1日8時間を超えて働かせてはならないという法律上の禁止を解くための手続きです。したがって、36協定の直接的な効力は法定労働時間を超えて時間外労働させても違法として処罰の対象とされない刑事上の免罰的効力に限られ、時間外労働を命じる根拠(労働者が時間外労働の命令に服すべき義務)はこの36協定にはありません。その根拠は、労働契約や就業規則で定められるべきです。

 それでは、労働契約や就業規則で時間外労働をさせることが定められていれば、強制的にさせることができるかというとそうとも限りません。本来であれば、時間外労働命令はその都度、労働者の同意、承諾を得て行われるべきですが企業の経営、労働の実態からみて無理があるように思われます。

 したがって、労働契約や就業規則で時間外労働の義務を定めている場合で、その規定の内容が合理的であるときには、命令に従うべき義務があるとする考え方が妥当であるので、この命令を拒否すると、業務命令違反になることも考えられます。ただし、労働者に時間外・休日労働を行わない止むを得ない事由があるときには、その命令は権利濫用になり、とりわけ休日労働についての業務上の必要性は慎重に判断するべきです。

4.時間外労働の事例

(1)所定労働時間が7時間30分の場合

1日の所定労働時間が7時間30分であって、実際の労働時間が8時間00分である場合は、7時間30分を超えて8時間00分まで30分間の労働時間は、原則として割増賃金を支払う必要はありません。しかし、この30分間の労働した時間に対する賃金は支払う必要があります。労働基準法では、原則として1日の労働時間が8時間を超えた場合に割増賃金を支払うことを定めているので、それに満たない時間には割増賃金を支払わなくてもいいのです。もっとも、就業規則で、所定労働時間を超えて労働した場合には割増賃金を支払うという規定していれば、それに従わなければなりません。

 

(2)遅刻した者が所定労働時間を超えて労働した場合

 遅刻をした者を、遅刻した時間だけ、所定の終業時刻以後も労働させても、それは労働基準法上の時間外労働ではないので、割増賃金を支払う必要はありません。ただし、原則として1日の労働時間が8時間を超えた場合には割増賃金を支払う必要があります。

 

(3)労働者が自主的に居残っていたり、休日に出勤した場合

時間外労働は、まず、使用者から労働者に時間外労働の申し出があり、つぎに、それに対して労働者からの承諾があって初めて時間外労働ができるのです。ですから、使用者の許可なく勝手に居残っていたり、休日に出勤したときに、業務災害発生したり、通勤歳が発生すると会社の安全管理が問われますので、勝手な居残りや休日出勤は禁止するべきです。

 

(4)講習会等に参加する場合

 時間外労働ということの前に、労働時間になるかどうかを考えると、「労働時間とは、労働者が使用者の指揮監督のもとにある時間」なので、使用者の指示もなく、その管理下からも離れ、労働者が真に自発的に、自主的に参加するのであれば、業務に直接関連するものであっても労働時間とは考えられません。しかし、労働者の自主参加としていても、不参加者に不利益を課すことがあった場合には、使用者の指示があったものと認められるので、これは労働時間となります。当然、法定労働時間を超えた時間には割増賃金を支払わなければなりません。

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