1.辞職(自己都合退職)

 辞職とは、労働者による労働契約の解約です。一般的に、自己都合退職といわれています。期間の定めのない雇用契約においては、労働者は2週間の予告期間を置けば、いつでも、理由を要しないで、労働契約を解約できます(民法627条1)。ただし、給与が毎月1回払いの完全月給制(遅刻、欠勤控除無し)の場合は、解約翌月以降に対してのみなすことができ、しかも当月の前半においてその予告をすることを要します(同条2項)。

 これに対して、期間の定めのある雇用契約の場合は、「止むを得ない事由」あるときに「直ちに契約の解除をする」ことができます(民法628条)

 辞職(退職)の意思表示は、合意解約の場合と異なり使用者に到達した時点で解約告知としての効力が生じ、撤回できません。

2.合意解約(依願退職)

 合意解約とは、労働者と使用者が合意によって労働関係を将来に向けて解約することです。解雇ではないので、労働基準法の解雇規制(労働基準法第19,20条)や労働契約法の解雇規定(労働契約法第16条)関係諸法令の規制を受けません。

 労働者がこの依願退職における退職願を提出した後にそれを撤回したり、意思表示の瑕疵を主張してその効力を争う事件が起こりますが、裁判例では、「合意解約の申し込みたる

退職願は使用者の承諾の意思表示がなされるまでの間は撤回できる」としています。(平成9.8.29大阪地裁 白頭学院事件)

3.定年

(1)定年とは、労働者が一定の年齢に達したときに、労働契約が終了する制度です。

 

(2)65歳までの雇用継続義務

 高年齢者雇用安定法で雇用継続義務を定めています。

 まず、第8条「事業主がその雇用する労働者の定年の定めをする場合には、当該定年は60歳を下回ることができない」

 そして、第9条1項「65歳の定年を定めている事業主は、その雇用する高年齢者の65歳までの安定した雇用を確保するため@当該定年の引き上げ、A現に雇用している高年齢者が希望するときは、当該高年齢者をその定年後も引き続き雇用する制度(「継続雇用制度」)の導入、B当該定年の定めの廃止、のいずれかの措置を講じなければならない

 

(3)定年後の再雇用・雇用延長

 定年後の再雇用について、次のような判例があります。「定年後の再雇用は、新たな労働契約の締結としてその内容につき労働者と使用者の双方の合意を要する。したがって、使用者は再雇用するものを選別したり、再雇用を拒否することができる。」(東京地判平成8.3.27 東京海上火災保険事件、大阪地判平10.1.23 三井海上火災保険事件、東京地判平14.1.21 三室戸学園事件)

 

4.倒産等

 使用者が法人であって、その法人が解散する場合には、清算手続きが完了すれば法人格は消滅し、労働契約関係も消滅します。倒産による解雇の場合であっても、労働基準法第20条の解雇予告義務が適用されます。

 また、倒産により給料の未払いが発生することがありますが、「賃金の支払の確保等に関する法律」で一定の範囲で労働者を救済しています。未払賃金の立替払といい、次のような要件があります。

 立替払を適用される事業主の要件として、労災保険に1年以上加入していて、次のいずれかに該当することが必要です。@破産手続き開始の決定を受け、または特別清算の開始命令を受けたこと、A民事再生手続開始の決定または更生手続開始の決定を受けたこと、B中小企業の場合、その事業活動が停止し、再開の見込みがなく、かつ賃金支払能力がないことが労働基準監督署長によって認定されたこと。

 立替払を受ける労働者の要件は、@、Aの申し立てがあった日またはBの認定の申請が退職労働者によりなされた日の6箇月前の日以降2年間に、上記要件を満たす事業主の事業から退職したことです。

 この立替払の対象となる賃金は、退職日の6箇月前の以後立替払の請求日の前日までの期間において支払期日が到来している定期給与および退職金であって、その総額が2万円以上のものであること。実際に、立替払が行われる賃金の額は、立替払対象賃金中の未払い分(年齢に応じて上限あり)の80%に相当する額です。

 この、未払賃金の立替払事業は、労災保険事業である社会復帰促進等事業の一つとして行われますので、この事業の費用は、労災保険料によって賄われています。

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