専門業務型裁量労働時間制

 

業務の性質上、業務遂行の手段や方法、時間配分等を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要がある業務として厚生労働省令及び厚生労働大臣告示によって定められた業務の中から、対象となる業務を労使で定め、労働者を実際にその業務に就かせた場合、労使であらかじめ定めた時間働いたものとみなす制度です。

 

 

 

 

 

 

◆専門業務型裁量労働時間制の効果

裁量労働時間制適用対象労働者の労働時間は、実労働時間に関係なく、労使協定で定めた時間となります。

具体的に言うと、1日の実労働時間が6時間であっても10時間であっても、労使協定で定めた時間が8時間00分であれば、その日の労働時間は8時間00分になり、同様に、労使協定で定めた労働時間が9時間であれば、実労働時間が8時間でも10時間でも、その日の労働時間は9時間になります。ただし、労使協定で定めた時間が8時間を超えるときには、1時間分の割増賃金(1時間の時給×1.25)が必要になります。

 

◆専門業務型裁量労働制の対象業務は?

「専門業務型裁量労働制」は、下記の19業務に限り、事業場の過半数労働組合又は過半数代表者との労使協定を締結することにより導入することができます。

  1. 新商品若しくは新技術の研究開発又は人文科学若しくは自然科学に関する研究の業務
  2. 情報処理システム(電子計算機を使用して行う情報処理を目的として複数の要素が組み合わされた体系であつてプログラムの設計の基本となるものをいう。(7)において同じ。)の分析又は設計の業務
  3. 新聞若しくは出版の事業における記事の取材若しくは編集の業務又は放送法(昭和25年法律第132号)第2条第4号に規定する放送番組若しくは有線ラジオ放送業務の運用の規正に関する法律(昭和26年法律第135号)第2条に規定する有線ラジオ放送若しくは有線テレビジョン放送法(昭和47年法律第114号)第2条第1項に規定する有線テレビジョン放送の放送番組(以下「放送番組」と総称する。)の制作のための取材若しくは編集の業務
  4. 衣服、室内装飾、工業製品、広告等の新たなデザインの考案の業務
  5. 放送番組、映画等の制作の事業におけるプロデューサー又はディレクターの業務
  6. 広告、宣伝等における商品等の内容、特長等に係る文章の案の考案の業務(いわゆるコピーライターの業務)
  7. 事業運営において情報処理システムを活用するための問題点の把握又はそれを活用するための方法に関する考案若しくは助言の業務(いわゆるシステムコンサルタントの業務)
  8. 建築物内における照明器具、家具等の配置に関する考案、表現又は助言の業務(いわゆるインテリアコーディネーターの業務)
  9. ゲーム用ソフトウェアの創作の業務
  10. 有価証券市場における相場等の動向又は有価証券の価値等の分析、評価又はこれに基づく投資に関する助言の業務(いわゆる証券アナリストの業務)
  11. 金融工学等の知識を用いて行う金融商品の開発の業務
  12. 学校教育法(昭和22年法律第26号)に規定する大学における教授研究の業務(主として研究に従事するものに限る。)
  13. 公認会計士の業務
  14. 弁護士の業務
  15. 建築士(一級建築士、二級建築士及び木造建築士)の業務
  16. 不動産鑑定士の業務
  17. 弁理士の業務
  18. 税理士の業務
  19. 中小企業診断士の業務

◆制度導入のための手続は?

制度の導入に当たっては、原則として次の事項を労使協定により定め、所轄労働基準監督署長に届け出ることが必要です。

  1. 制度の対象とする業務
  2. 対象となる業務遂行の手段や方法、時間配分等に関し労働者に具体的な指示をしないこと
  3. 労働時間としてみなす時間
  4. 対象となる労働者の労働時間の状況に応じて実施する健康・福祉を確保するための措置の具体的内容
  5. 対象となる労働者からの苦情の処理のため実施する措置の具体的内容
  6. 協定の有効期間(※3年以内とすることが望ましい。)
  7. 4及び5に関し労働者ごとに講じた措置の記録を協定の有効期間及びその期間満了後3年間保存すること

◆裁量労働時間制の注意点

年次有給休暇、休憩、深夜労働・時間外労働・休日労働の割増賃金は適用されます。

 

専門業務型裁量労働制の導入事例

専門業務型裁量労働制の導入事例として、住宅建設会社で建築士の資格を持つ現場監督があります。(令和1年5月現在)


企画業務型裁量労働時間制

 

 

事業運営上の重要な決定が行われる企業の本社などにおいて企画、立案、調査及び分析を行う労働者を対象とした「企画業務型裁量労働制」が2000年(平成12年)4月より施行されました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆企画業務型裁量労働時間制の効果

専門業務型裁量労働時間制と同じです。

企画業務型裁量労働時間制の適用対象労働者の労働時間は、実労働時間に関係なく、労使協定で定めた時間となります。

具体的に言うと、1日の実労働時間が6時間であっても10時間であっても、労使協定で定めた時間が8時間00分であれば、その日の労働時間は8時間00分になり、同様に、労使協定で定めた労働時間が9時間であれば、実労働時間が8時間でも10時間でも、その日の労働時間は9時間になります。ただし、労使協定で定めた時間が8時間を超えるときには、1時間分の割増賃金(1時間の時給×1.25)が必要になります。

 

◆企画業務型裁量労働時間制を導入できる事業所は、

  1. 本社・本店である事業場
  2. 1のほか、次のいずれかに掲げる事業場 

      (1)  当該事業場の属する企業等に係る事業の運営に大きな影響を及ぼす決定が行なわれる事業場

      (2)  本社・本店である事業場の具体的な指示を受けることなく独自に、当該事業場に係る事業の運営に大きな影響を及ぼす事業計画や営業計画の決定を行っている支社・支店等である事業場

    ※ 個別の製造等の作業や当該作業に係る工程管理のみを行っている事業場や本社・本店又は支社・支店等である事業場の具体的な指示を受けて、個別の営業活動のみを行っている事業場は、企画業務型裁量労働制を導入することはできません。 

 

◆企画裁量型労働時間制の導入手順

  1. 労使委員会を設置
  2. 労使委員会で労使委員会の委員の5分の4以上の多数による議決により決議(対象となる業務の具体的な範囲、対象労働者の具体的な範囲、労働したものとみなす時間、使用者が対象となる労働者の勤務状況に応じて実施する健康及び福祉を確保するための措置の具体的内容、苦情の処理のため措置の具体的内容、本制度の適用について労働者本人の同意を得なければならないこと及び不同意の労働者に対し不利益取扱いをしてはならないこと、決議の有効期間、企画業務型裁量労働制の実施状況に係る記録を保存すること)
  3. 労使委員会で決議したことを、所定様式により所轄労働基準監督署長へ届出
  4. 対象となる労働者の個別の同意

◆定期報告

使用者は、決議が行われた日から起算して6か月以内ごとに1回、所定様式により次の事項について所轄労働基準監督署長へ定期報告を行わなければなりません。

  1. 対象となる労働者の労働時間の状況
  2. 対象となる労働者の健康及び福祉を確保するための措置の実施状況

 

 

 

企画業務型裁量労働制の導入事例

企画業務型裁量労働制の導入事例はありません。(令和1年10月現在)

これは導入手順が複雑なうえ、定期報告が困難なので、当事務所がご支援した導入事例はありません。