労働基準監督者が発行する是正勧告書を甘く見ると大変なことになります。是正勧告とは、労働基準法101条に規定されている労働基準監督官の立入調査(臨検)において、法違反に該当すると認められる事項について労働基準監督署が、その是正を勧告することをいいます。
【労働基準法】
(労働基準監督官の権限)
第百一条 労働基準監督官は、事業場、寄宿舎その他の附属建設物に臨検し、帳簿及び書類の提出を求め、又は使用者若しくは労働者に対して尋問を行うことができる。
② 前項の場合において、労働基準監督官は、その身分を証明する証票を携帯しなければならない。
(昭四七法五七・一部改正)
第百二条 労働基準監督官は、この法律違反の罪について、刑事訴訟法に規定する司法警察官の職務を行う。
第百三条 労働者を就業させる事業の附属寄宿舎が、安全及び衛生に関して定められた基準に反し、且つ労働者に急迫した危険がある場合においては、労働基準監督官は、第九十六条の三の規定による行政官庁の権限を即時に行うことができる。
(昭四七法五七・一部改正)
(監督機関に対する申告)
第百四条 事業場に、この法律又はこの法律に基いて発する命令に違反する事実がある場合においては、労働者は、その事実を行政官庁又は労働基準監督官に申告することができる。
② 使用者は、前項の申告をしたことを理由として、労働者に対して解雇その他不利益な取扱をしてはならない。
(報告等)
第百四条の二 行政官庁は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、使用者又は労働者に対し、必要な事項を報告させ、又は出頭を命ずることができる。
② 労働基準監督官は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、使用者又は労働者に対し、必要な事項を報告させ、又は出頭を命ずることができる。
(平五法七九・追加、平一一法一六〇・一部改正)
(労働基準監督官の義務)
第百五条 労働基準監督官は、職務上知り得た秘密を漏してはならない。労働基準監督官を退官した後においても同様である。
労働基準監督署の調査の事例
1. 業務災害が多い業種を対象に定期的に行っている調査
一つ目の調査では、労働者名簿、賃金台帳、タイムカードの有無、就業規則の制定および届出の有無、36協定をはじめとする
労使協定の届出、健康診断実施の報告等基本的な事項で、もし調査書類に不備があっても訂正、作成することで対応できます。
最近、この定期調査で指摘されるのは健康診断です。法律上は採用時と年一回の定期診断、深夜業務が多い労働者には年2回以上が義務付けられていますが、中小企業では徹底されていません。
この場合でも、是正勧告書による指導があります。
2. 労災事故が頻発する事業所の調査
二つ目の調査では、労災事故が頻発している事業所に立ち入り調査を行います。
見るポイントは、労働者名簿、賃金台帳、タイムカードの有無、就業規則の作成および届出の有無、36協定をはじめとする労使協定の作成及び届出、健康診断実施の報告等基本的な事項は当然として、実際の作業所を詳細に調査します。この調査では労働基準法よりも労働安全衛生法の視点から調査していることが目立ちます。
この労働安全衛生法の規則はとても詳細に規定されていて完璧に遵守している企業は少ないと思われます。特に製造業や建設業では○○作業主任者や○○技能講習受講者等の資格や研修義務の項目が複雑多岐にわたっています。
ですから当然、是正勧告書で指導される内容もこの部分が多いのです。この種の是正勧告では何月何日何の資格を取得する(した)、講習を受講する(した)等の是正報告をすれば解決です。
3. 労働トラブルに伴い労働基準監督署に相談、申告した場合の調査
三つ目の調査では、一つ目二つ目の調査と違い労働基準監督官が存分に発揮されます。最近は解雇、賃金(残業代)未払い、減給等の労働条件引き下げ、パワーハラスメントやセクシャルハラスメント等が多くなっています。
この中で労働基準監督官が一番指摘しやすいのが「賃金未払い」です。
この問題を持ち込まれるときは、労働者がタイムカードのコピー、スマートフォン等で写真撮影した自分のタイムカードや自分でメモ帳等に記録した労働時間と給与明細等の物的証拠を持参してきます。この物的証拠があれば労働基準監督官としては会社へ勧告することが容易になりますし、指導する必要があります。
この場合の是正報告は、正しく計算された給与明細と本人(場合によっては全従業員)の領収書を添付しなければなりません。
一方、解雇や労働条件の引き下げ、パワーハラスメントやセクシャルハラスメント、はこれといった具体的な証拠が提出されず、労使間での意見の相違が大きく、労働基準監督官が指導できる範囲が限られてしまいます。
例えば、会社が、Aさんは「能力不足である」という判断をした場合、労働基準監督署は「能力不足ではない」と言い切れないのです。
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会社側が気をつけなければならないのは、4点あります。
1.長時間労働の削減
昨今の労働行政の傾向として、長時間労働に対する指導が厳しくなっています。
最低でも、タイムカード等で個人別に労働時間と時間外労働、休日労働時間を集計、管理します。
2.未払い賃金を発生させない
残業代を支払っていれば従業員の駆け込みはほぼありませんし、もし労働基準監督署の調査が入ったとしても労働時間の遵守の指導が程度で済みます。
3.健康管理を徹底する
最低年1回の健康診断を実施して、必要があれば医師と相談をさせ、就業の指示を仰ぐことが必要になります。
4.安全管理を徹底する
安全委員会や衛生委員会を実施し、議事録を保管しておきます。
また、これまで実際にあった変わった調査としては、夜間に操業していた工場の近隣住民からの騒音苦情で、深夜に労働基準監督官が緊急に調査に入ったこともあります。この場合も労働時間の遵守の指導が入りました。
そのほか、建設業や運送業、常時100人以上の労働者がいる事業所は調査対象になりやすくなっております。
是正勧告を受けやすい項目を以下に挙げましたのでご参照ください。
その中で1つでも当てはまる企業様は一度当事務所までご相談ください。
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